カニと言って思いつくのは北海道。焼いたり鍋にしたり、ちょこっと頂くというよりは、豪快にしゃぶりついたりしてキレイに食べるのは難しい食べ物ですが、高級なお食事といったイメージです。
我が家では滅多に食卓には上がらず、お正月やなにか特別な日のごちそうです。
でも、世界中でカニがごちそうかといえばそういう訳でもなく、色々な捕り方や調理方法があるものです。
私にはひとつカニのイメージをぐるりと変えられてしまった思い出があります。
それはかれこれ10年以上前のこと。
友人とふたりでバヌアツというフィジーに近い南太平洋に浮かぶ島へ旅行に行った時のことです。
手つかずの大自然に囲まれ、青い海と無人の砂浜を満喫できる場所で、日本人には滅多に会わないところです。
数日間を本島で過ごしたのち、魚介類好きの私たちを現地のガイドさんの案内でたくさんのカニが食べられるよ、と誘われて一晩無人島に連れて行ってもらうことになりました。
どうやっていつ捕るのかな、と楽しみにしつつもまずは島へ小さなボートで向かいました。
晴れ渡る空、誰もいない島で探検したり写真を撮ったり、携帯電話もパソコンも無い、電気すら無い時間を満喫しました。
さて、夜になりいつカニが食べられるんだろうと思っている私をよそに、「これが一番安全で快適なんだよ。」と就寝用にハンモックが用意されていました。
確かに快適そうだけど、安全とはどういうことだろう?と思いながらも初めてのハンモックでカニのことは忘れて寝ることになりました。
ほどよい海風と美しい満月、降ってきそうなほどの星を眺めてまるで絵に描いたような南国の島の時間にうっとり。
心地よくウトウトし始めた頃、なにかガサガサと音がしました。
よく聞いてみるとかなり広範囲で、しかも大量の何かがうごめいているような音。
真っ暗闇で目を開けるのも怖いくらいだったのですが、まさかこの音の正体はと、恐る恐るハンモックの下を見るとそこにはカニの集団が!!
降りることもできない大量のカニが下にいるハンモックの上で冷や汗が出てきました。
つづく