私が10年ほど前に住んでいた町に、茹でたてのカニを販売してくれる小さなお店がありました。カニ好きの私としては、チェックしないわけにはいきません。その町に引っ越してきた当日に発見し、早速お店の中を覗いてみることにしました。引っ越しの荷物も満足にほどかないうちから、夕飯のメニューはカニで決定です。
カニというと皆さんはどの種類を思い浮かべるでしょうか?私は北海道民なので、子どもの頃からカニと言えばやっぱり毛ガニです。他のカニと比べるとやや食べづらいという欠点があると言われるものの、味は一番おいしいと思って(思い込んで)います。…というわけで早速毛ガニのコーナーへ直行し、買う気満々でお店の人に値段交渉の開始です。
大小様々、値段様々な毛ガニが並ぶ中、いくら値引きしてくれるかお店のおばさんに訊きます。返ってきた答えは「買えば買うほど安くなる」とのこと…当時主人と二人暮らしだった私は、二人で一体何杯食べられるかも真剣に考え始めました。結局買ったのは3杯でしたが、皿に書かれていた値段よりも安く買えたことに大満足。両手に3杯のカニを抱え、満面の笑みを浮かべてお店を後にしました。
引っ越しの荷ほどきもまだあることだし、さあ車に乗り込んで家に帰ろうとしたその時です。お店の横に、ケーキ屋さんがあるではありませんか!!そのケーキ屋さんは町で有名なお店で、引っ越してきたばかりの私でもその名前を知っているほどでした。
カニに劣らずケーキも好きな私としては、そのケーキ屋さんも覗かないわけにはいきません。買ったばかりのカニを車の助手席に放り込み、ケーキ屋さんへと向かいました。…そこでケーキを購入したのは言うまでもありません。(さすがに値段交渉はしませんでしたが)
その日の夕飯は、3杯の毛ガニとたくさんのケーキというとても豪勢な(?)メニューとなりました。出費がかさんだけれど、まあ引越祝いと思えばいいか…とその時の私は考えていました。でもそれが甘い考えだと気づいたのはその後すぐでした。
以来、カニを買おうとその店に行くと、必ずその横にあるケーキ屋さんも目に入り、寄ることになってしまったのです。もちろん逆もまた然り。ケーキ屋さんでケーキを買おうとすると、その後ついつい足がカニの方へと向くことに。カニが、そしてケーキが、私を呼んでいるんです。我が家ではカニとケーキは1セットで買うものと決まってしまいました。
…あれから10年。今は別の町に引っ越し、子供も生まれた私ですが、その習慣は今も変わっていません。昔のようにカニを売る店とケーキ屋さんが横に並んでいるわけではないのに、両方買わないと気が済まないのです。カニのみを買うときも頭の中でケーキが浮かび、ケーキを買いながら「カニはどうしようかな…」と悩む始末。
我が家の子どもたちは、カニとケーキは一緒に食べるものだと普通に思っています。奇妙な取り合わせですが、我が家では定番なんですよ!!