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12年前の友との旅行

今から12年前の冬の話です。
当時、東京に住む大学3年生だった私は、同じ大学に通う男友達4人と一緒に、冬の北海道に3泊する蟹食べ旅行に行ったんです。
旅行と言っても、お金が皆無かったので、友達の一人が持っていたオンボロ車で北海道に向かったのです。
当然、寝泊りは車の中です。
夜、狭い車の中で座った状態で皆、寝ました。
食事はどうしたかと言うと、北海道に着いたら豪華な蟹料理を3日間食べる計画を立てていました。
なので、北海道に着くまでは無駄なお金を使う事はせず、菓子パンで腹を満たしていました。
東京を出発して、翌日の夕方に北海道に渡りました。
もちろん街中も道路も白い雪で覆われていました。
雪道の運転に慣れていない友人は、何度もオンボロ車のハンドルをとられそうになりました。
その日の夕方、私達5人は1件の蟹料理のお店に入りました。
なぜ、そのお店にしたかと言うと、『安くて美味い蟹料理』という看板が出ていたからです。
私達貧乏学生5人は、それぞれの少ない旅費を出し合って、テーブルの上に数多の蟹料理を注文し、皆で料理に箸を突つきあって食べました。
その時食べた蟹のしゃぶしゃぶは、未だにその味を覚えているくらい美味しく感動しました。
皆、無言に蟹料理を食べては、目を見開いていました。
その日の夜は、近くの銭湯に5人で行き、体と頭を洗い、やっぱりオンボロ車で寝ました。
北海道2日目、私達は札幌にいました。
ガソリン代がかかるので、車を路中して札幌の街中を歩いて散策しました。
美味しそうなお店がたくさんありましたが、一日に一回、夕方に豪華な蟹料理を食べると決めていたので、腹の虫が鳴りっぱなしでした。
その日の夕方、私達は札幌の繁華街にある一軒の蟹料理店に入りました。
店の中に入ると、蟹料理のいい匂いが立ち込めていて、空腹だった私は、眩暈すら覚えました。
その日も、昨日入った蟹料理の店のように、数多の蟹料理を注文し、皆で料理に箸を突き合って食べました。
焼き蟹、絶品でした。
北海道旅行最終日の3日目、初日と2日目の蟹料理のお店でお金を使いすぎ、私達はそれぞれ、小銭しか残っていませんでした。
東京までのガソリン代を考えると、5人の小銭を合わせてやっとガソリン代が足りるくらいでした。
私達5人は北海道旅行3日目、蟹を食べられずに、残念な思いで東京の向け車を走らせました。
12年が経った今でも、この北海道蟹食べ旅行に行った4人とは付き合いがありますが、また皆で蟹を食べに北海道に旅行に行きたいです。
もちろん、飛行機でね。

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