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カニに喜びカニに泣く

私がまだ小学生の時だったと思います。時はバブル期に入り世の中ものすごく活気づいていたころ(私は後から両親から聞きました)元々アウトドア派の父は4輪駆動のランドクルーザーを買いました。その夏北海道へキャンプに出かけるからと言って母への相談もなしに独断で車を買ってしまっていたそうです。
夏も近づき2週間の休日予定も決めキャンプで回るルートも決めました。父は北海道の白地図を作り、「ここではテントを張り、この地で○○を見て、○○を食べて...。」と母と私たち子供に概要を説明をしました。その後で私たち子供が絵を書いて、私達子供が地図を完成させることになりました。1番上だった私(長女)が先頭に立ちああでもない、こうでもないと言いながら宿泊地にテントを書き、花(ひまわりやラベンダー)や動物(きつね、クマ、牛など)の絵を書きこみました。その完成した白地図を見た母が「何で知床に包帯を巻いて松葉杖をついたけが人がいるの?縁起でもない」と不思議な顔をしました。「だって、けが人の話もしてたでしょ?」と私。「『けが人』ではなくて、『毛ガニ』とは言ったけど?」と母は大笑いでした。それを見た父も大笑いだったそうです。「カニ」と言ったらまずそのエピソードが一番に頭に浮かびます。
北海道をキャンプしながら転々としながら回っていたとき釧路の道路端にある小さな店先に「かにラーメン」と書いた旗がヒラヒラと...。それが目に留まった父はすぐに車を止めて「カニラーメンはいくら?」と聞いたら「1杯2800円です。絶対満足していただけるラーメンですから。」と言われました。「よし、食べてみるか。」と父は即注文。なかなか出てきません。みんなで「当たりかなぁ、外れかなぁ。」なんて言いながら待っていると、「お待ちー!」とカニ足ののったラーメンが目の前にドカーンと。タラバガニの太い脚には身がびっしりとつまり、それが4本、そしてカキにホタテ。その時のラーメンの豪快さ、あの味、本当に本当においしかったです。カニ足から身を引っ張り出して、「見て見て~!」と自慢しあいながらラーメンがのびるのも忘れてカニを食べるのに夢中でした。
あの日のあの光景をいまだにはっきりを覚えてます。また食べに行ってみたいのですが、お店はあるのかなぁ。あったとしてもなかなか簡単には食べにはいけませんね。
その後オホーツク海に上り知床へ行きました。知床では路上をで売っているカニ1匹買いその夜の夕食「カニの鉄砲汁」を作り食べました。その時の鉄砲汁も忘れられない味です。
カニのおいしさに魅せられた父は知床のある店で到着期日指定で2万円分のカニを自宅へ送ってもらいました。帰ってから友達とカニパーティーをするために...。
旅行から帰り、カニの到着日に友達を呼んで「ほら、おいしいカニだぞ!驚くなぁ!」と発泡スチロールの箱を開いてみたらなんとやせ細った貧弱なタラバガニと花咲ガニが...。持ってみるまでもなく、軽くて中身はスカスカ。脱皮寸前の栄養失調状態のカニに父は激怒し、頭から湯気が上がる勢いでした。
これが私のカニにまつわる泣き笑いのエピソードでした。

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