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友との別れ

先月、同じ大学に通う友人R君と駅前にある蟹料理のお店に食べに行く事になったんです。
俺、蟹料理なんて今まで、2回くらいしか食べた事がないのですが、友人R君が奢ってくれると言うので、誘いにのったんです。
待ち合わせ場所の駅前で、友人R君が来るのを待ちました。
随分と友人R君は羽振りがいいなと、待ちながらその時は思いました。
だって、友人R君も俺と同じく、親の仕送りとバイトで大学に通っていたのですから。
10分後くらいに友人R君はやって来ました。
俺が、パチンコで儲かったの? と聞くと、首を横に振りました。
なんとなく、元気がないように感じました。
待ち合わせ場所のすぐ近くにある、ビルの3階にその蟹料理店はありました。
店内は、少し暗めに明かりが調整されていて、食事料金が高くつきそうに感じました。
テーブル席に案内され、友人R君と向いあって座りました。
男性店員がメニュー表を持ってきて、友人R君と俺に渡しました。
メニュー表を見ると、やっぱり蟹料理だけあって高かったです。
友人R君は俺に、「好きなの頼めよ」と言ったので、遠慮せずに、一人前5000円する蟹御前セットを頼みました。
友人R君も同じものをオーダーをとりに来た男性店員に注文しました。
注文した料理が出てくる間、俺は友人R君に何度も話かけましたが、「うん」とか「そうだね」とか相槌ばかりが返ってきました。
しばらくして、注文した蟹御前セットがテーブルの上に運ばれてきたのですが、驚きました。
かに釜飯に、かにの天ぷら、、かにの茶碗蒸しなど、全部で8品がでてきたのです。
普段、交友費にお金を使うため食費を削っている俺は、蟹料理にがっつきました。
友人R君に「かにの天ぷら超ウメー」と言うと、友人R君は俺にかにの天ぷらをくれました。
出された蟹御前セットを全部食べ切り、お茶を啜っていると、友人R君は突然「俺、大学辞める事にした」と言ったのです。
突然の事に、え? と聞きかえす俺に、友人R君は「明日、田舎に帰るんだ」と。
どうしてだよ? と聞き返す俺に、友人R君は「辞める事にしたんだよ」と言って、その後は何も話してくれませんでした。
店を出た友人R君と俺は、路上に立ち止まって向いあいました。
「元気でな。大学生活楽しめよ」と俺に友人R君はそう言って、暗闇の方に歩いて行ってしまいました。
翌日、大学に行き、別の友人に聞いたところ、友人R君の父親が経営している会社が倒産したそうです。
俺はそれを聞いて、友人R君に電話を掛けましたが、いくら掛け直しても携帯がつながる事はありませんでした。
以前、俺が友人達数人と遊んでいた時、蟹食いてーと言ったのを、友人R君は覚えていたのかな…。

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