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水族館での出来事

私は水族館が好きです。
子供たちも水族館が好きだけど、それ以上に私が好きだから、休日に行くことが多いのです。
でもパパはあまり興味がないので、最近は嫌がるようになってしまいました。
残念なことに。
水族館のゆったりとしたあの薄暗い空間は気持ちが落ち着くものです。
水のきらめきや、揺らぎも癒される要素です。
魚たちのゆったりと泳ぐ様は目が離せなくなります。
この前、カニをみていました。
タラバガニです。
水族館のタラバガニはとても大きくて、食べても美味しくなさそう!そう思いました。
実際食べるタラバがにも相当大きいらしいのだけど、この個体は食べ頃をすぎたようにみえるかにでした。通販で買うかにもおてごろサイズですよね。
子供たちと、大きいね、触ったら指を挟まれるかな、なんて言いながらじっくりと観察をしていると、何かをぶくぶくと出し始めました。
オレンジ色のとびっこような、プツプツとしてそうな何かです。
うんちだ!うんちだ!って無邪気な子供たちは騒いでいたけれど、産卵していたのです。
神聖なシーンだったのに、排泄シーンと勘違いし大騒ぎする我が子。
呆れて私は卵を産んでるんだよって教えると、食い入るように見ていました。
図鑑が大好きな長男は、かにが卵からうまれることは分かっていて、一年に一度の瞬間だと喜びました。
ヤドカリの仲間なんだよ、なんて呑気なことを言いながら、生命の誕生の瞬間に目が釘付け。
かには産卵後に疲れはてたらしく、じっと動かなくなりました。
生む前なら内子として高価な値がついたんだろうと、思いましたが、無事産卵できてよかったね!と思い直しました。
卵は水に揺られてふわふわと揺れていて、なんだか不思議な感じ。
こんな弱々しい卵から、固い甲羅のかにが生まれるのです。
似ても似つかないその姿をしばらく見続けました。
その後、思わずスーパーでかにを買って、夕食はかに鍋にすることに。
生きているかにをみた後だから、少し食べることにためらいを覚えました。
でも、かにが煮えるころにはみんな箸を持って、取り分けるのが待ちきれない!と言わんばかりの姿。
人間とは単純な生き物です。
感情移入して食べられなくなるかといえば、そうでもないのです。
お腹はすいているし、美味しいということを知っている食べ物がここにあるとなると、食べたい!という思いだけになります。
実に動物的ですね。
水族館での出来事など、なんのその。
もう目の前のご馳走に一直線なのです。
スーパーでかにを買っている時点で、己の欲が勝っているのです。

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